豊中計装株式会社

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過酷なノイズ、高電圧スパーク試験

試験1  ノイズ試験

ノイズに強い伝送・ユニバーサルラインを使用して、過酷なノイズ環境で伝送試験を行ったものをまとめました。

過酷なノイズ試験の波形。①インバーターモーターの動力線と同一のケーブルで伝送した波形②③組220Vの1本を伝送のコモン線として伝送した波形

概要

ノイズに強い伝送・ユニバーサルラインをAC100VVやAC200Vと同一のケーブルで接点信号やアナログ信号を伝送した例は100m程度までです。それ以上の伝送性能を確認するため、0.65Φ-4Cのケーブルを1Km用意して安定伝送に関連する各種の伝送試験を行った。

伝送試験機器内容

1Kmの伝送路の両端にRS232C-I/F付の24CH監視盤・MW24とパソコンを設置し、ほぼ中央に1点入力ユニットを24台設置し、入力の状態をパソコンと監視盤で確認した。

ノイズ試験に使用したケーブル
メーカー 日本電線
種別 インターフォンケーブル ※0.65Φ-4C
抵抗値(片道1Km) 51オーム(実測値)
静電容量(線間1km) 0.061μF(実測値)
静電容量(対間1km) 0.101μF(実測値)

※ 試験したインターフォンケーブルは弱電用で通常12Vや24Vで使用するものではあるが、破壊耐圧はかなりあるのであえて被覆が薄く、静電容量が大きく、線間影響力の大きいものを使用した。

1. 異電圧混在伝送試験①

4芯のケーブルの2芯を伝送に、他の2芯にAC100Vの商用電源を印加して伝送試験を行った。

異電圧混在伝送試験①のシステム構成図

同一ケーブル経由でモータをON/OFFしても特に信号の乱れは無く、またモータ負荷の替わりにA点で瞬間短絡をさせて過度特性を確認しても、すべての機器が問題なく長時間正常に動作した。

2. 異電圧混在伝送試験②

上記と同様の試験を220Vの電圧を印加して行った

異電圧混在伝送試験②のシステム構成図

R-S間、S-T間、R-T間の3相電圧の印加を行ったが 100Vと同様にモータがON/OFFしても特に信号の乱れは 無く、すべての機器が正常に動作した。

3. 異電圧混在伝送試験③

220Vのの電圧印加試験をノイズの多いインバータを使用して行った。

異電圧混在伝送試験③のシステム構成図

同一ケーブル内のインバータのノイズは下図のように大きく、そのため1Kmの伝送は正常な動作ができなかった。同一ケーブルで送る距離を縮めて動力線との静電結合を減らすと、正常な伝送ができた。200mでは正常に伝送でき、300mの場合はごくまれにエラーが出た。伝送路には下図のような大きなノイズが重畳されていた。

同一ケーブルでインバータノイズの影響を受けた伝送波形(黄線)
ノイズの影響を受けた伝送波形画像。同一伝送路での距離が長いと結合が密になりエラーが出やすくなる。

4. コモン線伝送試験①

伝送ラインを1本使用し、他の1本は他用途に使用している既設配線の1本を、コモン線として兼用して伝送する場合の状態の試験を行った。試験を厳しくするために推奨はできないがあえてノイズの多いAC100ラインをコモンとした伝送試験を行った。

コモン線伝送試験①のシステム構成

モーターがOFFの場合は1Kmの片線をAC100V線を利用して伝送した場合でも正常に伝送できた。モータがONの場合は配線が細いのでA点-B点間で約30Vの交流の電圧降下があり、その電圧が伝送ラインに重畳されて正常に伝送できなかった。A点より100mの位置にヒータ負荷を接続した場合は正常に伝送できた。下図はその時のB点 での伝送波形で、500Hzの伝送信号が60Hzの電圧降下分で上下しているのが見られる。

コモン線に100Vの交流電流が昆流した時の伝送波形
コモン線に100Vの交流電流が昆流した時の伝送波形画像

5. コモン線伝送試験②

コモン線伝送試験①と同じ試験を3相のAC220VラインでR、S、T相の各相で行った。

コモン線伝送試験②のシステム構成

AC100Vの試験と同様に電圧印加の線を使用した場合は正常に伝送できたが、ある一定の交流電流負荷が増えると(電圧降下5V以上の電流)正常な伝送はできなくなった。

このコモン線試験①②はデータ取得用の為、ユニバーサルラインとACラインの兼用は実際には使用しないで下さい。

6. コモン線伝送試験③

現実的な直流回路のコモン線伝送試験をコモンドロップを減らすため100mの伝送距離で線の種類を変えて行った。

コモン線伝送試験③のシステム構成

上記の状態で正常に通信できる範囲は直流負荷の電流と線径により異なった。

0.65Φ AE線 約0.9Aまで
1.25sq VCTF 約3Aまで
2sq VCTF 約5Aまで

伝送ができなくなる原因は、コモン線として使用するA点-B点間の電圧降下が約5V(ほぼ設計の敷居値)以上になると信号レベルの判定ができないためと考えられる。

7. 構造体流用伝送試験

伝送ラインの1本を構造体の鉄骨を利用した伝送路で伝送試験を行った。

構造体流用伝送試験のシステム構成図
配線抵抗往路5オーム 復路(鉄骨)40オーム

長時間の動作もエラーなく正常に伝送できるのを確認できた。B点での伝送波形を見るとかなりリアクタンス性の伝送路となっていてH、Lのエッジが振動しているのが見られた。これは往復の伝送路が包み込む空間面積が広いためと考えられる。

伝送電圧変化時の振動の画像とその画像の拡大画像

ノイズ試験のまとめ

異電圧混在伝送

同一の多芯ケーブルの中に100V、200Vが混在しても従来の伝送と同じで1Kmの併設でも特に問題なく伝送できた。但しインバータの2次側の配線と混在して伝送する場合は100m以下とするほうが良いと考えられる。試験をしたインバータはノイズの多いものではありますがノイズの出方はメーカ、機種により強弱があるので、導入にあたっては事前試験が必要である。また伝送路の主局側に数μFのコンデンサを入れるとこのノイズを低減することが可能となる。

コモン線伝送

伝送ラインの1本を他の回路の1本と共有して使用するのは何ら問題はない。但しその共有ラインが既設の用途で大きな電流を流していたり抵抗値が大きく、伝送で使用する2点間が5V以上の電圧を有している場合は使用できない。実際には余裕を持って3V以下の電圧降下のあるコモン線を使用すべきと思われる。既設回路に負荷変動がある場合はその影響が伝送ラインに現れるので事前調査が必要である。

構造体流用伝送

建物の鉄骨や機械のフレームを伝送路の1本として使用する場合は上記コモン伝送と同様に電圧の有している2点間を使用する場合は注意が必要である。構造体等は各種の電流が不定期に流れることもあるので、その電圧検証も長期的な計測が必要な場合がある。特に電気溶接の電流が流れるような構造体は誤動作の原因となる。また往路と復路の伝送路の具合によっては大きなリアクタンス分がある場合もあるので、構造体流用伝送の場合も事前の試験が必要である。

試験2  高電圧スパーク試験

スタンガンで高電圧を発生させた実験の画像

雷に強い伝送、ユニバーサルラインの耐電圧性を高電圧のスパークを印加して伝送試験をしたものをまとめました。

概要

下記の試験機器構成に記載している伝送基板とユニットを接続して高電圧の印加(別紙のようなスパーク放電)を行い、伝送機器の破損と伝送信号の状態を観測した。RS232C通信基板については接続先のパソコンへの影響を避けるためRS232Cケーブルを外し電圧試験後接続して通信データ、伝送データを確認した。

試験機器構成

伝送機器
RS232C通信基板 CIF03
伝送主基板 ULP03
8点入力基板 SR8IN
8点出力基板 SR8RY
8点アナログ基板 UL8AD
1点入力ユニット AD1

生産終了品 SR8IN → 機能互換品 LAC8IN
生産終了品 SR8RY → 機能互換品 LAC8RY

高電圧発生装置
使用機器 スタンガン(MUSCLEMAN MM-050)
発生電圧 325000V(メーカ公称)
実印加電圧 不明 スパーク距離 約20mm

(乾燥空気の絶縁破壊電圧 3kV/mm)

試験方法

伝送システムを動作させたままで伝送ラインの圧着端子のチューブを外してL+⇔R-の放電で行った。異常なし。

試験結果

伝送機器
RS232C通信基板 CIF03 試験後異常なし
伝送主基板 ULP03 試験中試験後異常なし
8点入力基板 SR8IN 試験中試験後異常なし
8点出力基板 SR8RY スパーク中まれにON信号の瞬時欠落あり、試験後異常なし
8点アナログ基板 UL8AD アナログA/D変換部損傷、伝送部異常なし
1点入力ユニット AD1 試験中試験後異常なし

生産終了品 SR8IN → 機能互換品 LAC8IN
生産終了品 SR8RY → 機能互換品 LAC8RY

参考

各ユニットに採用している耐サージ電圧特性を持たせる基本回路

バリスタの破壊導通については伝送電源側にメーカー推奨値以下のヒューズを挿入して保護しています。

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Toyonakakeisou Co LTD