豊中計装株式会社

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メタル伝送~10㎞四方の広域・長距離の計測、監視、制御が可能~

このレポートは2004年の試験です。以降この試験のノウハウをベースに、全国で数十Km~50Kmの中継無しの伝送システムを納品しています。

伝送レポート抜粋【No2】 45㎞の予備配線伝送

概要

ユニバーサルラインの伝送仕様の一部を超長距離用に変更した伝送システムで、多対ケーブルの予備線を使用して超長距離の伝送に使用したものです。

一般に汎用の電線を用いてノイズレベルの高い伝送路で接点、アナログ、パルス等の信号を長期に安定してメタル伝送する場合、通常のRS485通信等では非常に困難がともないます。今回、弊社の省配線、長距離伝送の特許技術とノイズ抑制回路のノウハウ等を駆使して、大阪ー京都間で通信した伝送システムの概要です。超長距離用の伝送をするため、更にクロック周波数を下げ(約40Hz)て信号幅を広くし、回路的にノイズ対策を強化し、既設の伝送ユニットをそのまま使用しています。

大阪京都間の45㎞予備配線伝送の構成図

機器構成

左図のような接続で

①大阪からスイッチON
②京都でその出力表示
③その出力を入力に折り返す
④折り返した入力を大阪で確認
⑤以上のことをアドレスを変えて別のスイッチで行う
⑥手動試験の後、パソコンで同様に連続で行い、それを記録
⑦これらの作業は両駅のオシロスコープで伝送波形を見ながら行う

実際の伝送ライン電気的特性の測定

NO.線径配線長配線抵抗
(往復)
線間容量線間絶縁
対1.0.9φ約45Km2348Ω1.51μF99MΩ
対2.0.9φ約45Km2335Ω1.50μF49MΩ

伝送システムの構成

今回の伝送路は抵抗値と線間容量が多いので次のような構成です。

  • 幅広のクロックのタイプの伝送ユニットを使用する。クロックの隙間は容量分によりチャージされ、谷間が埋められる可能性が高いので50%デューティー比ではなく、谷間の広いクロック波形とする。実際にはONを10mSとしOFFを15mSの40%デューティー比の伝送波形とする。
  • 波高値は伝送距離を稼ぐためには高いほうが望ましいが、他へのノイズの影響と部品コストの低下を図るために汎用の部品が使用できる24Vとする。
  • 伝送ラインのデータ伝送方法は、汎用品のようにクロック電圧をもらいそれをチャージ反転回路で負電圧として使用すると、伝送路抵抗のためクロックの波高値に影響が出るので避ける。別電源の24Vを供給するようにする。
  • 1ペアの線でうまく伝送できない場合、線をダブルで使用することも考慮する。

実際の伝送波形

図1. 京都側子局伝送波形

大阪側でクロックを給電し、京都で子局ユッニトを接続した時の電圧波形で線路抵抗による波高値の低下が見られるが、内部で使用するクロックレベルを充分にクリアしている。

図2. 京都側で受信したデータ電圧1

大阪側でアドレス1の接点入力をONにした時の京都側の伝送波形で、予想以上に安定した内容でレベル的にも時間的にも問題無く使用できた。想定より安定しているのは、線間容量が予想外に少なかったのとCRの分布定数の違いと考えられる。

パソコン監視画面

下記のように256接点の内112点のアナログ領域と接点144点に分けて使用した。

リモートモニターシステムの画面

伝送試験結果

連続伝送試験期間2004年06月07日~2004年12月10日 約6ヶ月間 連続(何回か停電有り)
全伝送ビット点数256点 接点系は警報保持回路で瞬時の監視、アナログは1分毎の記録
耐ノイズ性監視点数常時OFFの128点の信号はノイズでのONは皆無 すべて異常なし
連続入力 7接点大阪→京都 常時連続ON 異常なし
連続出力 7接点大阪←京都 常時連続ON 異常なし
連続ON/OFF動作内容
1. 大阪でONしてその時間を大阪で時間と共に記録
2. 京都でONした出力を京都の別の監視用の入力に入れ、それを大阪で出力してその時間と動作を記録
3. 大阪でOFFして、その時間を大阪で時間と共に記録
4. 京都でOFFした出力を京都の別の監視用の入力に入れ、大阪で出力してそれを時間と共にを記録
平均伝送遅延時間往復で約8秒 片道で約4秒
アナログ計測京都電気室の温度測定を1点のみ行ったが正常に記録され、グラフ等にノイズの記録は見られなかった

考察

今回の長距離伝送試験では、当初想定していたよりはるかに良好な伝送の結果が得られた。
これは、ケーブルの線間容量が予想していたものより小さかったためと考えられる。ケーブルの線間容量は電線メーカーのCPEV0.9Φを基準に想定し、更に少し多めに設定して予備試験を行っていた。おそらくCPEVよりも被覆が厚いため、線間容量が低いと思われる。これは他の試験でも同様の傾向がみられた。

今回の伝送波形でもわかるように、大阪側から供給した伝送クロックは京都側では、線間容量による伝送波形の鈍りは見られるものの、敷居値を充分に満足する伝送レベル及び位相ずれの程度でデータの通信が確実にできた。この波形であれば、現在6.4秒周期で256の接点のON/OFF状態を更新しているが、約半分位に早くできそうである。

試験した伝送路は、大電流が流れる線路と平行した長距離の伝送路で、そこから混入するノイズはかなり強いものではあるが、ノイズ抑制回路が効果的に作用しペア線でなくても伝送が可能であった。

あとがき

通常なかなか難しい超長距離の伝送試験が、各位の御協力により実現したことに感謝いたします。

試験前は広域のノイズ、大阪-京都間の地電位の差等各種の伝送阻害要因が懸念されましたが、実際に行って見ると適切な各箇所の定数を選定することにより、すべて問題なく伝送できました。また、夏場の雷による損傷、誤動作もなく試験ができました。

おかげさまでこれらの結果を踏まえたシステムが各地で活躍しています。徐々に長距離、劣悪環境での実績も増えて全国主要港のフェンス監視や50万Vの電力設備の外周監視にも使用されています。現在は光ファイバーばやりですが、昔ながらのメタル伝送もシンプルでメンテが容易ですので一度ご検討下さい。

伝送レポート抜粋【NO 1】 7㎞の予備配線伝送について

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